解説記事 — フレーズフレーズミー
疑問文・命令文・否定文must の2つの意味|「しなければならない」義務と「〜に違いない」推量
30秒でわかる
must には2つの顔があります。①義務「〜しなければならない」(否定 must not は禁止「〜してはいけない」)と、②推量「〜に違いない」(must have+過去分詞で「〜だったはずだ」)。どちらの顔でも must はいちばん強い言い方です。迷ったら「話し手はどれくらい強く言い切りたいか?」と自問してください——「した方がよい」程度なら should、「かもしれない」程度なら may を選びます。
まず、実際の間違いを見てください
次の3つは、当サービスの人手添削で実際に繰り返し指摘された誤答です(回数は同じ間違いが添削された実測値)。
例文: 必要以上のお金を使ってはいけません。
「〜してはいけません」という禁止は must not(mustn't)や should not で表します。can't は「できない」が中心の言い方で、ここでの「いけません」の訳としてはずれます。
例文: このプロジェクトは絶対に成功させなければならない。
succeed が「成功する」という動詞なので、must succeed で「成功しなければならない」が言えています。「成功させる」の「させる」に引きずられて make を足す必要はありません。
例文: この冷蔵庫にケーキがいくつか入っていたはずだ。
may have been は「あったかもしれない」という不確かな推測。「あったはずだ」と話し手が確信しているなら、強い推量の must have+過去分詞を使います。
must のミスは、よくある誤り全222タイプの中で第161位。当サービスの人手添削12年分で159回指摘されました。件数は多くありませんが、「禁止を can't で書く」「はずだ、を may に弱める」という強さの取り違えに集中しています。
なぜ間違えるか——日本語のクセ
日本語の「〜してはいけない」「〜のはずだ」には、話し手がどれくらい強く言い切っているかの目盛りが文の形に出ません。「使ってはいけません」も「使わない方がいいです」も、文末を少し変えるだけで、助動詞を選び直す感覚がないのです。英語は逆で、強さの目盛りごとに助動詞が分かれています。義務なら must(絶対)> should(した方がよい)、推量なら must(に違いない)> may/might(かもしれない)。日本語の文末だけを見て訳語を当てると、この目盛りを外して「強すぎる」「弱すぎる」の減点になります。
もう1つのクセは「〜させる」の直訳です。「成功させなければならない」の「させる」を見ると make を足したくなりますが、主語がプロジェクト自身なら must succeed(成功しなければならない)で言い切れます。
図の内容を表にするとこうなります。
| 顔 | 形 | 意味 | 弱めた言い方 |
|---|---|---|---|
| 義務 | must + 動詞の原形 | 〜しなければならない | should(した方がよい) |
| 禁止 | must not(mustn't) | 〜してはいけない | should not |
| 推量(今) | must + 動詞の原形 | 〜に違いない | may/might(かもしれない) |
| 推量(過去) | must have + 過去分詞 | 〜だったはずだ | may have + 過去分詞 |
こう考える——書くときの判断手順
- まず義務か推量かを決める——「しなければ/いけない」なら義務、「はずだ/違いない」なら推量
- 強さの目盛りを読む——義務側:「絶対に・規則で」なら must、「した方がよい」程度なら should や had better(shall と should の違い)。推量側:「はずだ」と確信しているなら must、「かもしれない」なら may/might
- 推量で過去のことを言うなら must have + 過去分詞(形の作り方は助動詞+have+過去分詞)
- 否定は意味に注意——must not は禁止「してはいけない」。「しなくてよい」は don't have to や need not(違いは否定文の作り方)
ここまでは同じ、ここからは別
「買わなければいけません」のような義務は、must でも have to でも正解です(当サービスの採点でも両方認めています)。ただし must はやや強制力の強い、掲示物のような固い響きになる点は意識しておきましょう。逆に「〜した方がよい」という助言に must を使うと、当サービスの採点では強すぎる表現として減点です——should や had better に下げます。また「〜したはずがない」という否定の強い推量は、must not have done よりも cannot(can't)have + 過去分詞が一般的で、must not have だとニュアンスが強すぎると判定される場合があります。
まとめ——書いたあとのチェック
- その must は義務か推量か、自分で言えるか
- 日本語は「した方がよい」「かもしれない」程度なのに、must で強く言い切っていないか(逆に「いけない」を can't に弱めていないか)
- 過去への推量は must have + 過去分詞になっているか
この間違い、自分もやるか試してみる
この記事で見た強さの目盛りが、そのまま試される問題です。「いたずら好きな彼は、一度厳しく叱られて自分の行動を反省した方がよい。」——「した方がよい」に must を選ぶと減点になります。書いた英文は AI がその場で採点します(登録は不要です)。
「一度厳しく叱られて自分の行動を反省した方がよい」を英語で書いてみる登録なしで、この1問をAIが採点しますデータについて: 本文の回数・割合は、フレーズフレーズミーの人手添削データ12年分の集計値です(添削と誤りタグの照合 655,994回のうち、本記事のタグ「助動詞 must の意味と使い方」への照合が 159回・0.02%。集計 2026-08-14)。誤答例の「◯回」は、同じ間違いが人手添削と照合された回数です。誤答例はいずれも実際の学習者の答案に現れた文で、個人が特定できる情報は含みません。