解説記事 — フレーズフレーズミー
冠詞と名詞の形's と of の使い分け|「家の壁」を house's wall と書けない理由
30秒でわかる
日本語の「〜の」は、英語では2つに分業されています。人・動物なら 's(my mother's advice)、物・場所など無生物なら of(the wall of my house)が基本です。of を使うときは A of B=「BのA」と、日本語と語順が逆になることに注意。迷ったら「『〜の』の持ち主は生き物か?」と自問してください。
まず、実際の間違いを見てください
次の3つは、当サービスの人手添削で実際に繰り返し指摘された誤答です(回数は同じ間違いが添削された実測値)。
例文: 私の家の壁は白いです。
's をつけられるのは人間・動物や、人に近い扱いをする団体など。家は無生物なので、of を使って the wall of my house とします。
例文: 重要なのは、手紙の差出人の目的は何かということだ。
手紙も無生物なので letter's とは言えません。「手紙の差出人」は the sender of the letter。「差出人の目的」まで含めると of が2回続きますが、それで正しい形です。
例文: 兄の料理は美味しくない。
逆方向の間違いもあります。兄は人なので、of ではなく 's の出番。「兄の」は my brother's で表します。
's と of の使い分けのミスは、よくある誤り全222タイプの中で第50位。当サービスの人手添削12年分で1,636回指摘されました。「家の壁」型(無生物に 's)が圧倒的多数ですが、人に of を使う逆方向の誤りも一定数あります。
なぜ間違えるか——日本語のクセ
日本語の助詞「の」は万能です。「母の助言」「家の壁」「手紙の差出人」——持ち主が人でも物でも、ぜんぶ同じ「の」でつなげます。英語はここを分業していて、持ち主が生き物かどうかで道具を変えます。生き物なら 's、無生物なら of。この区別が日本語に存在しないため、「AのB」を見た順に A's B と機械的に変換して、my house's wall のような英語を作ってしまうのです。
もうひとつの罠は語順です。's は日本語と同じ順(母の助言→my mother's advice)ですが、of は A of B=「BのA」と逆順になります。「家の壁」なら、先に「壁」を言ってから of my house。日本語の順のまま the house of the wall などと並べると意味が逆転します。
図の内容を表にするとこうなります。
| 持ち主 | 使う形 | 語順 | 例 |
|---|---|---|---|
| 人・動物 | 's | 日本語と同じ(持ち主が先) | my mother's advice(母の助言) |
| 人扱いする団体・組織 | 's(of も可) | 同上 | the company's policy(会社の方針) |
| 物・場所など無生物 | of | 日本語と逆(持ち物が先) | the wall of my house(家の壁) |
なお、無生物の「の」には of のほかに名詞をそのまま並べる複合語(a bus stop など)もありますが、自由に作れるわけではありません。mountain top のような自作の組み合わせは減点対象で、the top of that mountain と of で言うのが安全です。
こう考える——書くときの判断手順
- 「AのB」の持ち主 A は生き物か——人・動物なら A's B(my brother's dish)。無生物なら of へ
- of を使うなら順番をひっくり返す——「家の壁」は壁が先、the wall of my house。「このネクタイの値段」は the price of this tie(× the tie of this price は「この値段のネクタイ」)
- 「の」が連続したら一つずつ処理する——「手紙の差出人の目的」は、the sender of the letter を作ってから the purpose of をかぶせて the purpose of the sender of the letter。of が2回続いても構いません
- 人に 's をつけるときはアポストロフィの位置を確認——「母の」は mother's(× mothers'。s の後ろに ' を打つのは複数形の所有格だけ)
ここまでは同じ、ここからは別
「生き物は 's・無生物は of」が骨格ですが、境界には幅があります。会社・学校・国などの団体は人の集まりとして 's が使えます(the company's policy)。また、人について of を使った the advice of my mother は、文法書では見かける形ですが、当サービスの採点では不自然として減点しています——「母の助言」は my mother's advice が自然な英語です。逆に無生物でも、this cafe's manager のような形は口語で見かけることがありますが、採点では of this cafe を正解としています。迷ったら基本形(生き物 's・無生物 of)に寄せるのが安全です。
もうひとつ、of は所有以外にも顔を出します。「7歳の娘」を a daughter of seven years old とは言えません(my seven-year-old daughter)。「3時の急行」も the express of three ではなく the three o'clock express。日本語の「の」を見るたびに of を置くのではなく、まず 's / of / 複合語・言い換えのどれかを選ぶ——これがこの単元の本当の姿です。冠詞のつけ方(the wall か a wall か)は別の話なので、冠詞・複数形の記事を参照してください。
まとめ——書いたあとのチェック
- 's の持ち主は人・動物・団体か(家・手紙など無生物に 's をつけていないか)
- of は A of B=「BのA」の逆順になっているか
- 人の「の」を of で書いていないか(my mother's advice の形が自然)
この間違い、自分もやるか試してみる
この記事で見た「私の家の壁は白いです。」を、実際に英語で書いてみてください。無生物の「の」を 's にしないか、of の語順を逆にできるかがそのまま試される問題です。書いた英文は AI がその場で採点します(登録は不要です)。
「私の家の壁は白いです。」を英語で書いてみる登録なしで、この1問をAIが採点しますデータについて: 本文の回数・割合は、フレーズフレーズミーの人手添削データ12年分の集計値です(添削と誤りタグの照合 655,994回のうち、本記事のタグ「所有格(‘s)と of の違い」への照合が 1,636回・0.2%。集計 2026-08-14)。誤答例の「◯回」は、同じ間違いが人手添削と照合された回数です。誤答例はいずれも実際の学習者の答案に現れた文で、個人が特定できる情報は含みません。