解説記事 — フレーズフレーズミー
単語の使い分けbecause of と thanks to の違い|「〜のおかげで」「〜のせいで」の英語
30秒でわかる
理由を表す前置詞は、because of(中立・何にでも使える)と thanks to(良い結果専用=「〜のおかげで」)の2つを軸に覚えれば足ります。どちらも後ろに置けるのは名詞(のかたまり)だけで、「主語+動詞」を続けたいときは接続詞 because に切り替えます。thanks は必ず s つき——thank to は誤りです。
まず、実際の間違いを見てください
次の3つは、当サービスの人手添削で実際に繰り返し指摘された誤答です(回数は同じ間違いが添削された実測値)。
例文: あなたのおかげで楽しめました。
for you は「あなたのために」または「あなたの代わりに」。「あなたのおかげで」とは意味がずれます。「〜のおかげで」の決まり文句は thanks to 〜 です。
例文: あなたのおかげで楽しめました。
s の落とし忘れが定番の減点です。この表現の thanks は「感謝」という意味の名詞(Thanks!(ありがとう)と同じ形)なので、常に thanks to。動詞の thank に引きずられないように。
例文: 年々、円高のために外国に行く日本人が増えている。
thanks to は「おかげで」——話し手が良いことだと思っている結果に使います。単なる事実の理由(円高で増えている)や悪い結果には、中立の because of を使うのが安全です。
「〜が理由で」の言い方のミスは、よくある誤り全222タイプの中で第21位。当サービスの人手添削12年分で4,967回指摘されました。「おかげで」を for と訳す誤りと thank to の s 落ちの2パターンに集中しています。
なぜ間違えるか——日本語のクセ
日本語は「あなたのおかげで」「風邪のせいで」「円高で」と、理由をぜんぶ助詞「で」の仲間で言えてしまいます。しかも「おかげで」には感謝のニュアンスが薄れた使い方(「おかげで散々だったよ」)まであります。英語はここを分業していて、①後ろに置ける形(名詞か、主語+動詞か)と②結果が良いことかの2つで言葉を選びます。この2軸が日本語に存在しないため、「ために」つながりで for を置いたり、悪い結果に thanks to を使ったりしてしまうのです。
図の内容を表にするとこうなります。
| 表現 | 後ろに置く形 | 使いどころ |
|---|---|---|
| because of 〜 | 名詞 | 中立。「〜が理由で」全般(良いこと・悪いこと両方) |
| thanks to 〜 | 名詞 | 良い結果だけ。「〜のおかげで」 |
| due to 〜 | 名詞 | やや堅い書き言葉。悪い理由に多い(遅延・中止など) |
| because 〜 | 主語+動詞 | 「〜なので」。文と文をつなぐ |
on account of・owing to も because of と同じ「名詞を続ける中立の理由」で、意味は通じます(当サービスの採点でも別解として認めています)。ただ日常の英作文でまず使う場面はないので、上の2つ+because を確実に使えることを優先してください。
こう考える——書くときの判断手順
- 理由の部分を一語の名詞(のかたまり)で言えるか確認する——言えるなら前置詞(because of / thanks to)+名詞。「主語+動詞」で言いたいなら接続詞 because に切り替える(× because of she had a cold / × thanks to a passerby picked it up)
- その結果は「ありがたいこと」か——ありがたいなら thanks to(s を忘れない)、それ以外・迷うなら because of
- 「〜のおかげで」を訳すとき、for に手が伸びたら止まる——for you は「あなたのために」。意味が変わってしまう
- because of の後ろに動名詞(-ing)を続けたくなったら名詞で言い直す——because of having a cold より because of a cold がすっきりした英語
ここまでは同じ、ここからは別
「あなたのおかげで楽しめました」では、thanks to you と because of you も正解です(中立表現は良い結果にも使えるため。当サービスの採点でも両方可)。逆は成り立たない——悪い結果への thanks to は皮肉に聞こえます。また due to you のように人を続けるのは不自然で、due to は The delay was due to heavy snow. のような事柄の理由に向きます。なお、この例文には enjoy を一語で使えないというもう1つの罠も仕込まれています。そちらはenjoy の記事で扱っています。
まとめ——書いたあとのチェック
- because of/thanks to の後ろは名詞になっているか(主語+動詞なら because に)
- thanks to の s は付いているか。結果は「ありがたいこと」か
- 「おかげで」を for と書いていないか
この間違い、自分もやるか試してみる
この記事で見た「通行人の一人が拾ってくれたおかげで、私はバッグを取り戻すことができました。」を、実際に英語で書いてみてください。thanks to の後ろに置く形がそのまま試される問題です。書いた英文は AI がその場で採点します(登録は不要です)。
「通行人の一人が拾ってくれたおかげで…」を英語で書いてみる登録なしで、この1問をAIが採点しますデータについて: 本文の回数・割合は、フレーズフレーズミーの人手添削データ12年分の集計値です(添削と誤りタグの照合 655,994回のうち、本記事のタグ「because of, thanks to, on account of, due to, owing to の違い」への照合が 4,967回・0.8%。集計 2026-08-13)。誤答例の「◯回」は、同じ間違いが人手添削と照合された回数です。誤答例はいずれも実際の学習者の答案に現れた文で、個人が特定できる情報は含みません。