解説記事 — フレーズフレーズミー
冠詞と名詞の形繰り返しの one と that の違い|同じ名詞を二度書かない英語のルール
30秒でわかる
英語は、短い間に同じ名詞を二度書くことを嫌います。二度目は代わりの語で受けるのがルールで、a +名詞の繰り返し(同じ種類の別物・どれでもいいもの)は one、the +名詞の繰り返し(特定のそのもの)は that、修飾語がつくなら the one で受けます。迷ったら「二度目の名詞に a と the のどちらを付けたくなるか?」と自問してください。
まず、実際の間違いを見てください
次の3つは、当サービスの人手添削で実際に繰り返し指摘された誤答です(回数は同じ間違いが添削された実測値)。
例文: 2人の男のうち、背の高い方が先に出て行った。
文法としては通じますが、man ... men と同じ語が数語おきに二度出るのを英語は嫌います。二度目の man は one で受けるのが自然な英語です。
例文: 頂上が雪で覆われているあの山は、僕らが昨年の夏登った山です。
「あの山は〜山です」と日本語では「山」が二度出ますが、英語で mountain を二度書くと減点です。「僕らが登った」という修飾語つきで特定のものを指しているので、the one で受けます。
例文: 頂上が雪で覆われているあの山は、僕らが昨年の夏登った山です。
繰り返しを避けようとして that だけを置いた形です。惜しいのですが、that が名詞の代わりをして後ろに関係詞の修飾(we climbed ...)を受けるのは、that of 〜 のような堅い書き言葉に限られます。日常の文では the one が自然です。
同じ名詞の繰り返しのミスは、よくある誤り全222タイプの中で第133位。当サービスの人手添削12年分で454回指摘されました。件数は多くありませんが、「文法は合っているのに減点される」ため自分では気づきにくい型です。
なぜ間違えるか——日本語のクセ
日本語は、同じ名詞の繰り返しをまったく気にしません。「あの山は、僕らが昨年の夏登った山です」「2人の男のうち、背の高い男が」——むしろ繰り返した方が丁寧に聞こえるくらいです。だから日本語の文を頭から順に訳していくと、二度目の「山」「男」にもそのまま mountain・man を当ててしまいます。
英語は逆で、一度出した名詞は代わりの語で受けるのが標準です(そのために代名詞という品詞があります)。ただし「どの代わりの語を使うか」が名詞の指し方で分かれるため、単純な置き換えでは済みません。分かれ目は、二度目の名詞が a 系(同じ種類なら何でもいい・別の個体でもいい)か、the 系(まさにその特定のもの)かです。a と the の感覚そのものは冠詞の記事で、this・that・the・it の指し分けはthis と that の記事で扱っています。
図の内容を表にするとこうなります。
| 二度目の名詞の指し方 | 受ける語 | 例 |
|---|---|---|
| a 系: 同じ種類の別物・どれでもいい | one(修飾語がつけば a/the +形容詞+ one) | I lost my umbrella, so I bought one.(別の1本) |
| the 系: 特定のそのもの+修飾語つき | the one +修飾語 | the one we climbed last summer |
| the 系: of 〜 が続く堅い書き言葉 | that of 〜(複数なら those of 〜) | The population of Tokyo is larger than that of Osaka. |
| the 系: まさにそれ自体(修飾語なし) | it | I found my umbrella and brought it home.(同じその1本) |
こう考える——書くときの判断手順
- 書き終えた文に、同じ名詞(man と men のような形違いも含む)が二度出ていないか見る——出ていなければこのルールの出番はありません
- 二度目の名詞に a と the のどちらを付けたくなるか考える——a 系(同種の別物・どれでも)なら one、the 系(特定のそれ)で修飾語が続くなら the one。that +名詞で指したものをもう一度指すときも the one です(× is that we climbed → ○ is the one we climbed)
- one の前に所有格を直接置いていないか確かめる——your one・this artist's one は不自然で減点です。「あなたのもの」は yours、「このアーティストの歌の中で」は among this artist's songs のように具体的な名詞で言います
- それでも迷ったら、繰り返さずに文を短くできないか試す——Which racket is your racket? より Which racket is yours? の方が自然です
ここまでは同じ、ここからは別
one を使わない形が正解になる場合もあります。「2人の男のうち背の高い方」は、The taller of the two men のように one を省いた形も模範解答です(the +比較級+ of the two だけで「〜な方」と言えるため。当サービスの採点でも両方正解)。逆に、one を置くとかえって減点になる場面もあります——所有格の直後(× your one → ○ yours)と、水・情報のような数えられない名詞(one は数えられる名詞専用)です。数えられない名詞の繰り返しは、that of 〜 の形か、具体的な名詞の言い直しで避けます。「繰り返しは常に one で受ける」と覚えると過剰修正になるので、受け皿は one・the one・that・it・所有代名詞と複数あり、指し方で選ぶ——ここが本体です。
まとめ——書いたあとのチェック
- 同じ名詞が1文に二度出ていないか(出たら二度目を one/the one/that で受ける)
- a 系の繰り返しは one、特定のそれ+修飾語は the one になっているか
- your one・this artist's one のように所有格の直後に one を置いていないか
この間違い、自分もやるか試してみる
この記事で見た「2人の男のうち、背の高い方が先に出て行った。」を、実際に英語で書いてみてください。man を繰り返さずに書けるかがそのまま試される問題です。書いた英文は AI がその場で採点します(登録は不要です)。
「2人の男のうち、背の高い方が…」を英語で書いてみる登録なしで、この1問をAIが採点しますデータについて: 本文の回数・割合は、フレーズフレーズミーの人手添削データ12年分の集計値です(添削と誤りタグの照合 655,994回のうち、本記事のタグ「同じものの繰り返し one と that の違い」への照合が 454回・0.1%。集計 2026-08-14)。誤答例の「◯回」は、同じ間違いが人手添削と照合された回数です。誤答例はいずれも実際の学習者の答案に現れた文で、個人が特定できる情報は含みません。