解説記事 — フレーズフレーズミー
文型・語順marry with は間違い|visit to・enter into——前置詞がいらない英語の他動詞
30秒でわかる
marry(〜と結婚する)・visit(〜を訪れる)・enter(〜に入る)・climb(〜に登る)などの他動詞は、日本語の「〜と」「〜に」の意味まで動詞が含んでいるので、後ろに前置詞を挟まず目的語(名詞)を直接続けます。「彼女と結婚した」の「と」を with と訳した瞬間に減点です。迷ったら「この動詞は助詞ごと訳してくれる動詞か」を確認してください。
まず、実際の間違いを見てください
次の3つは、当サービスの人手添削で実際に繰り返し指摘された誤答です(回数は同じ間違いが添削された実測値)。
例文: 私は彼女と3年前に結婚した。
marry は「〜と結婚する」という意味の他動詞なので、目的語(her)をそのまま置きます。「と」を to と訳した married to her も240回指摘された定番の誤りです(get married とするなら to が要ります——後述)。
例文: 私は妻の誕生日に指輪をプレゼントした。
こちらは逆パターン。present は give のように「人+物」と2つ並べられる動詞ではないので、present 人 with 物 か present 物 to 人 の形にします。前置詞が「いらない動詞」と「いる動詞」の指定は、動詞ごとに決まっています。
例文: 私は富士山に登ったことがあります。
「山に登る」の climb は他動詞。「に」につられて to を挟まず、目的語(Mt. Fuji)を直接続けます。
「動詞+名詞」の形のミスは、よくある誤り全222タイプの中で第36位。当サービスの人手添削12年分で3,209回指摘されました。上位2件はどちらも marry——「彼女と結婚した」の「と」がそれだけ訳したくなる、ということです。
なぜ間違えるか——日本語のクセ
日本語では、動詞の相手を必ず助詞が示します。「彼女と結婚する」「富士山に登る」「イタリアを訪れる」——動詞と相手のあいだに「と・に・を」が必ず1つ挟まるのが日本語の文法です。この感覚のまま一語ずつ英訳すると、「と」に with、「に」に to という英単語を割り当てたくなります。
ところが英語の他動詞は、助詞の意味まで動詞にまとめて入っています。marry は「〜と結婚する」まで、enter は「〜に入る」までが1語です。だから前置詞を足すと、日本語で言えば「彼女とと結婚した」のような重ね着になってしまいます。marry・visit・enter・climb・attend・thank・discuss・sign・email は、この「助詞ごと訳してくれる」代表格です。
同じクセは逆向きにも働きます。「〜を」が日本語にないと目的語を落とし(「そこが気に入らなかった」→ × I didn't like there.——there は副詞で目的語になれません)、逆に「計画を成功させる」の発想で自動詞 succeed に目的語を直結してしまう(× succeed their plan)のも、助詞と動詞の対応がずれる同じ根っこの誤りです。
図の内容を表にするとこうなります。
| タイプ | 動詞の例 | 正しい形 |
|---|---|---|
| 前置詞なしで目的語を直結(他動詞) | marry・visit・enter・climb・attend・thank・discuss・sign・email・learn | marry her / visit Italy / enter this laboratory |
| 前置詞が必要(自動詞) | go・succeed・apologize | go to Italy / succeed in business |
| 「人+前置詞+物」の型を持つ | present・provide | present 人 with 物 / present 物 to 人 |
こう考える——書くときの判断手順
- 動詞の直後に前置詞を書きたくなったら、日本語の助詞(と・に・へ)をそのまま訳していないか疑う——marry・visit・enter・climb・attend・thank・email・sign・learn は助詞ごと動詞に含まれる(× learn about the customs → ○ learn the customs)
- 逆に、「〜を」のない日本語でも英語の他動詞には目的語が要る——like・read・do・discuss は「何を」を必ず置く(× I didn't like there. → ○ I didn't like it.、× he didn't do on purpose → ○ he didn't do it on purpose)
- succeed は自動詞——「計画が成功する」は計画を主語にして their plan will succeed(× succeed their plan)
- give 型で物を先に置いたら前置詞が要る——give 物 to 人。present は「人+物」を直接並べられないので、present 人 with 物 か present 物 to 人
ここまでは同じ、ここからは別
「彼女と結婚した」は I got married to her. も正解です(当サービスの採点でも模範解答)。get married という「結婚している状態になる」の形では to が正しい部品で、「to は常に誤り」ではありません——誤りなのは marry の直後に挟んだときだけです。present も上で見たとおり with 型と to 型の2つの正解があります。また「前置詞を全部消せ」でもありません。「彼がその書類にサインしたペン」は This is the pen which he signed the document with. ——sign の目的語(the document)の前に前置詞は不要ですが、「そのペンで」の with は必要です。email も、動詞なら email me ですが、send an email to me という形なら to が正しい——物(an email)を先に送る give 型の語順だからです。消すべきは「動詞と目的語のあいだ」の前置詞だけ、と覚えてください。
まとめ——書いたあとのチェック
- marry・visit・enter・climb・attend・thank の直後に with・to・into を挟んでいないか
- like・read・do・discuss の目的語(何を)を落としていないか
- give 型で物を先に置いたら to/with を付けたか(present 人 with 物)
この間違い、自分もやるか試してみる
この記事で見た「私は富士山に登ったことがあります。」を、実際に英語で書いてみてください。「に」につられて climb に to を付けないかがそのまま試される問題です。書いた英文は AI がその場で採点します(登録は不要です)。
「私は富士山に登ったことがあります。」を英語で書いてみる登録なしで、この1問をAIが採点しますデータについて: 本文の回数・割合は、フレーズフレーズミーの人手添削データ12年分の集計値です(添削と誤りタグの照合 655,994回のうち、本記事のタグ「第3文型SVO(動詞+名詞)タイプ」への照合が 3,209回・0.5%。集計 2026-08-14)。誤答例の「◯回」は、同じ間違いが人手添削と照合された回数です。誤答例はいずれも実際の学習者の答案に現れた文で、個人が特定できる情報は含みません。