解説記事 — フレーズフレーズミー
単語の使い分けwill と would の使い分け|「聞きました」の後ろが would になる理由
30秒でわかる
would は「will の丁寧語」ではありません。視点を一段ずらした will です。ずらし方は2通り——①時間をずらす: 主節が過去形なら that 節の will は would になる(時制の一致)。②現実からずらす: 「〜でしょう」という控えめな推量や、事実でない仮定の帰結には would。迷ったら「話しての視点は今か・過去か」「事実か・想定か」の2つを自問してください。
まず、実際の間違いを見てください
次の3つは、当サービスの人手添削で実際に繰り返し指摘された誤答です(回数は同じ間違いが添削された実測値)。
例文: 私達は、彼が今年国に帰ると聞きました。
主節が heard と過去形なので、that 節の中も時制の一致で過去にそろえます。「聞いた時点から見た未来」は will でなく would です。
例文: 誰にでも明るく接することが、彼が人気のある理由でしょう。
「〜でしょう」という控えめな推量は would be で表します。is と断定すると「理由です」になり、日本語のニュアンスが落ちます。
例文: もしも音楽がなかったなら、私たちの人生は味気ないものになるだろう。
「なるだろう」は今(か近い未来)の推測なので would be で十分。would have been にすると「なっていただろう」という過去の話に変わってしまいます。
will と would のミスは、よくある誤り全222タイプの中で第61位。当サービスの人手添削12年分で1,263回指摘されました。中でも「主節が過去形なのに that 節を will のままにする」時制の一致もれが群を抜いて多い型です。
なぜ間違えるか——日本語のクセ
一番の原因は、日本語に時制の一致という仕組みがないことです。「彼が今年国に帰ると聞きました」——日本語では「聞きました」だけを過去形にして、「帰る」はそのままです。この感覚で英語を組み立てると that 節に will を置いてしまいます。英語は逆で、報告の中身まで報告した時点の時制にそろえる言語です。heard の時点から見た未来だから、will を過去形の would に落とします。
もうひとつは、日本語の「〜でしょう」が動詞の活用でなく文末の付け足しであること。「理由です」と「理由でしょう」は最後の一語しか違わないため、英訳で would be という助動詞の出番に気づきにくいのです。英語では断定(is)と推量(would be)は助動詞で言い分けます。
図の内容を表にするとこうなります。
| 使う形 | 場面 | 例 |
|---|---|---|
| will | 今から見た未来・その場の推測 | I have no idea when they will appear again. |
| would(時間のずらし) | 主節が過去形のときの that 節の未来 | We heard he would go back this year. |
| would(現実のずらし) | 控えめな推量「〜でしょう」・事実でない仮定の帰結 | The reason would be that ... |
こう考える——書くときの判断手順
- 主節の動詞は過去形か——heard・thought・insisted なら、that 節の will は would にそろえる。主節が現在形(I don't know など)なら will のまま
- 断定か、「〜でしょう」か——日本語の文末が「でしょう・だろう」なら would を思い出す。ただし推量がかかるのは推量している部分だけ。「彼が明るく接する」ことは事実なので he is のまま、「理由でしょう」の部分だけ would be にします
- 仮定なら、現実とずれているか——「もし私が君なら」のような現実でない仮定の帰結は would。今のことの推測なら would be で止め、would have been(〜だったろう)まで過去にしない。仮定法の時制のずらし方は仮定法の記事で詳しく扱っています
- 「来るはずがない」の強い否定——must not(〜すべきでない)ではなく will not/would not。Such a wonderful player would not come to this team.
ここまでは同じ、ここからは別
時制の一致では、would のほかに was going to も正解です(当サービスの採点でも We heard he was going to go back は模範解答の別解)。逆に、would なら常に安全というわけではありません——「もしもこのロボットの予算があと1億円増えたら」のような実現しうる単純な条件の帰結は、仮定法でなくただの未来なので will を使います(ここを would にすると減点です)。また「明日3時に会うことになっている」のような決まっている予定は will でなく be going to/be supposed to の領分です。この線引きはwill と be going to の記事で扱っています。なお Would you 〜? が Will you 〜? より丁寧な依頼になるのも、本記事の「現実から一歩引くと控えめになる」と同じ仕組みです。
まとめ——書いたあとのチェック
- 主節が過去形(heard・thought)なのに、that 節に will が残っていないか
- 日本語の「〜でしょう」を is と断定で書いていないか(would be に)
- 現実の条件の帰結に would、現実でない仮定の帰結に will を置き違えていないか
この間違い、自分もやるか試してみる
この記事で見た「私達は、彼が今年国に帰ると聞きました。」を、実際に英語で書いてみてください。that 節の will を would にそろえられるかがそのまま試される問題です。書いた英文は AI がその場で採点します(登録は不要です)。
「私達は、彼が今年国に帰ると聞きました。」を英語で書いてみる登録なしで、この1問をAIが採点しますデータについて: 本文の回数・割合は、フレーズフレーズミーの人手添削データ12年分の集計値です(添削と誤りタグの照合 655,994回のうち、本記事のタグ「助動詞 will と would の意味と使い方」への照合が 1,263回・0.2%。集計 2026-08-14)。誤答例の「◯回」は、同じ間違いが人手添削と照合された回数です。誤答例はいずれも実際の学習者の答案に現れた文で、個人が特定できる情報は含みません。