解説記事 — フレーズフレーズミー
単語の使い分けget angry と scold の違い|「怒る」と「叱る」の英語——「母に怒られた」の正しい訳
30秒でわかる
日本語の「怒る」には、感情(腹を立てる)と行為(叱る)の2つの意味があります。英語はここを分業していて、get angry は「怒りの感情をもつ」だけ、相手に向かって叱るという行為は scold です。「母に怒られた」のように「𠮟責を受けた」場面なら scold。迷ったら「実際に口に出して注意されたか?」と自問してください。注意されたなら scold です。
まず、実際の間違いを見てください
次の3つは、当サービスの人手添削で実際に繰り返し指摘された誤答です(回数は同じ間違いが添削された実測値)。
例文: 私は母に怒られた。
get angry は「怒りの感情をもつ」という意味で、「叱る」という行動を伴うとは限りません。この文の「怒られた」は叱られた(注意された)ということなので、行為を表す scold を使います。
例文: 私は母に怒られた。
was angry at me は「私に対して怒っている状態」の描写です。問題文は「怒られた」という出来事(動作)を述べているので、状態の be angry では合いません。ここも scold です。
例文: 私は母に怒られた。
make A angry は「A を怒らせる」——怒りの感情を引き起こしたという意味で、叱られたという事実とは別のことを言っています。「怒られた=叱られた」なら scold を選びます。
「怒る」と「叱る」の取り違えは、よくある誤り全222タイプの中で第119位。当サービスの人手添削12年分で573回指摘されました。誤答のほとんどが angry を使った直訳で、1つの和文にこれだけ集中する「日本語のクセ」型のミスです。
なぜ間違えるか——日本語のクセ
原因は、日本語の「怒る」が2つの意味を兼ねていることです。「先生が怒っている」(感情)と「先生に怒られた」(叱られた=行為)を、日本語は同じ動詞で言えてしまいます。辞書で「怒る=get angry」と覚えていると、「怒られた」もそのまま angry で訳したくなりますが、英語ではこの2つは別の言葉です。
- get angry / be angry —— 心の中の状態。腹を立てているだけで、相手に何か言ったかどうかは含まない
- scold —— 親や先生が子どもを叱る(口に出して注意する)という相手に向かう行為
「母に怒られた」で本当に伝えたいのは「母が腹を立てた」ことではなく「母に注意された」こと。だから scold が正解になります。
図の内容を表で整理します。
| 表現 | 種類 | 意味 |
|---|---|---|
| be angry (at/with 〜) | 状態 | 怒っている(心の中) |
| get angry | 変化 | 腹を立てる(怒っていない→怒っている) |
| scold 〜 | 行為 | 〜を叱る(口に出して注意する) |
| make 〜 angry | 行為 | 〜を怒らせる(感情を引き起こす) |
なお be angry(状態)と get angry(変化)の区別そのものは、be と get の状態・変化の記事と marry と get married の記事で扱っている型と同じです。この記事の主役はその手前——angry の仲間か、scold かという言葉選びです。
こう考える——書くときの判断手順
- 日本語の「怒る・怒られた」を見たら、「注意された・𠮟責された」と言い換えられるか確かめる——言い換えられるなら行為の話なので scold(× get angry)
- scold は「scold+人」の形で使う——My mother scolded me.(× scolded to me。前置詞は入れない)
- 「怒られた」の主語を選ぶ——怒った人を主語にして My mother scolded me. とするのが素直。「私」を主語にしたいなら受動態で I was scolded by my mother.(受動態の作り方は受動態の記事へ)
- 純粋に「腹を立てた」と感情だけを言いたいときに、初めて get angry の出番——He got angry when he heard the news.
ここまでは同じ、ここからは別
scold だけが正解ではありません。当サービスの採点でも、同じ「叱る」を表す chide を使った My mother chided me. は模範解答の一つです(やや書き言葉寄りの語です)。また、能動態の My mother scolded me. と受動態の I was scolded by my mother. はどちらも正解——「私は〜怒られた」という日本語の形に引きずられて受動態にしなければいけない、ということはありません。誤りになるのは、あくまで「叱る」場面に get angry・be angry・make 〜 angry など感情系の直訳を使ったときです。逆に、「彼は怒りっぽい」「彼女はまだ怒っている」のような感情の描写に scold を使うのも誤り——場面が感情なら angry、行為なら scold、で対にして覚えてください。
まとめ——書いたあとのチェック
- 「怒られた」を「注意された」と言い換えられるなら scold を使ったか
- scold の後ろに前置詞を入れず「scold+人」の形になっているか
- 感情だけの話(腹を立てた)に scold を使っていないか
この間違い、自分もやるか試してみる
この記事で見た「私は母に怒られた。」を、実際に英語で書いてみてください。「怒る」を angry の直訳にせず scold を選べるかがそのまま試される問題です。書いた英文は AI がその場で採点します(登録は不要です)。
「私は母に怒られた。」を英語で書いてみる登録なしで、この1問をAIが採点しますデータについて: 本文の回数・割合は、フレーズフレーズミーの人手添削データ12年分の集計値です(添削と誤りタグの照合 655,994回のうち、本記事のタグ「get angry, scold の違い(怒る、叱る)」への照合が 573回・0.1%。集計 2026-08-14)。誤答例の「◯回」は、同じ間違いが人手添削と照合された回数です。誤答例はいずれも実際の学習者の答案に現れた文で、個人が特定できる情報は含みません。