解説記事 — フレーズフレーズミー

単語の使い分け

get angry と scold の違い|「怒る」と「叱る」の英語——「母に怒られた」の正しい訳

30秒でわかる

日本語の「怒る」には、感情(腹を立てる)行為(叱る)の2つの意味があります。英語はここを分業していて、get angry は「怒りの感情をもつ」だけ、相手に向かって叱るという行為は scold です。「母に怒られた」のように「𠮟責を受けた」場面なら scold。迷ったら「実際に口に出して注意されたか?」と自問してください。注意されたなら scold です。

×My mother got angry with me.
My mother scolded me.

まず、実際の間違いを見てください

次の3つは、当サービスの人手添削で実際に繰り返し指摘された誤答です(回数は同じ間違いが添削された実測値)。

例文: 私は母に怒られた。

×My mother got angry with me.160回
My mother scolded me.

get angry は「怒りの感情をもつ」という意味で、「叱る」という行動を伴うとは限りません。この文の「怒られた」は叱られた(注意された)ということなので、行為を表す scold を使います。

例文: 私は母に怒られた。

×My mother was angry at me.60回
My mother scolded me.

was angry at me は「私に対して怒っている状態」の描写です。問題文は「怒られた」という出来事(動作)を述べているので、状態の be angry では合いません。ここも scold です。

例文: 私は母に怒られた。

×I made my mother angry.40回
My mother scolded me.

make A angry は「A を怒らせる」——怒りの感情を引き起こしたという意味で、叱られたという事実とは別のことを言っています。「怒られた=叱られた」なら scold を選びます。

第119位

「怒る」と「叱る」の取り違えは、よくある誤り全222タイプの中で第119位。当サービスの人手添削12年分で573回指摘されました。誤答のほとんどが angry を使った直訳で、1つの和文にこれだけ集中する「日本語のクセ」型のミスです。

なぜ間違えるか——日本語のクセ

原因は、日本語の「怒る」が2つの意味を兼ねていることです。「先生が怒っている」(感情)と「先生に怒られた」(叱られた=行為)を、日本語は同じ動詞で言えてしまいます。辞書で「怒る=get angry」と覚えていると、「怒られた」もそのまま angry で訳したくなりますが、英語ではこの2つは別の言葉です。

「母に怒られた」で本当に伝えたいのは「母が腹を立てた」ことではなく「母に注意された」こと。だから scold が正解になります。

get angry = 心の中の状態 怒りの感情が心の中にある (相手に届くとは限らない) scold = 相手に向かう行為 叱る(口に出す)
get angry は感情が母の中にとどまる。scold は「母→私」へ矢印が伸びる行為。「怒られた」はこの矢印の側。

図の内容を表で整理します。

表現種類意味
be angry (at/with 〜)状態怒っている(心の中)
get angry変化腹を立てる(怒っていない→怒っている)
scold 〜行為〜を叱る(口に出して注意する)
make 〜 angry行為〜を怒らせる(感情を引き起こす)

なお be angry(状態)と get angry(変化)の区別そのものは、be と get の状態・変化の記事marry と get married の記事で扱っている型と同じです。この記事の主役はその手前——angry の仲間か、scold かという言葉選びです。

こう考える——書くときの判断手順

  1. 日本語の「怒る・怒られた」を見たら、「注意された・𠮟責された」と言い換えられるか確かめる——言い換えられるなら行為の話なので scold(× get angry)
  2. scold は「scold+人」の形で使う——My mother scolded me.(× scolded to me。前置詞は入れない)
  3. 「怒られた」の主語を選ぶ——怒った人を主語にして My mother scolded me. とするのが素直。「私」を主語にしたいなら受動態で I was scolded by my mother.(受動態の作り方は受動態の記事へ)
  4. 純粋に「腹を立てた」と感情だけを言いたいときに、初めて get angry の出番——He got angry when he heard the news.

ここまでは同じ、ここからは別

scold だけが正解ではありません。当サービスの採点でも、同じ「叱る」を表す chide を使った My mother chided me. は模範解答の一つです(やや書き言葉寄りの語です)。また、能動態の My mother scolded me. と受動態の I was scolded by my mother. はどちらも正解——「私は〜怒られた」という日本語の形に引きずられて受動態にしなければいけない、ということはありません。誤りになるのは、あくまで「叱る」場面に get angry・be angry・make 〜 angry など感情系の直訳を使ったときです。逆に、「彼は怒りっぽい」「彼女はまだ怒っている」のような感情の描写に scold を使うのも誤り——場面が感情なら angry、行為なら scold、で対にして覚えてください。

まとめ——書いたあとのチェック

この間違い、自分もやるか試してみる

この記事で見た「私は母に怒られた。」を、実際に英語で書いてみてください。「怒る」を angry の直訳にせず scold を選べるかがそのまま試される問題です。書いた英文は AI がその場で採点します(登録は不要です)。

「私は母に怒られた。」を英語で書いてみる登録なしで、この1問をAIが採点します

データについて: 本文の回数・割合は、フレーズフレーズミーの人手添削データ12年分の集計値です(添削と誤りタグの照合 655,994回のうち、本記事のタグ「get angry, scold の違い(怒る、叱る)」への照合が 573回・0.1%。集計 2026-08-14)。誤答例の「◯回」は、同じ間違いが人手添削と照合された回数です。誤答例はいずれも実際の学習者の答案に現れた文で、個人が特定できる情報は含みません。

著者: 株式会社コンテンツアンドシステムズ(人手添削18.4万件・採点基準416問を運営する、ITと教育の融合をミッションとする会社です)。データの出どころと記事の作り方は運営者とデータについてをご覧ください。

← 解説記事の一覧フレーズフレーズミーをはじめる